「せっかく良くなってたのに」

臨床

 ある日、患者さんから「せっかく良くなってたのに、最近〇〇になった」と訴えを聞くことは少なくない

 例えば、「反対の足が痛くなった」「また痛みが戻ってきた」「全然違うところが痛くなった」など、症状が現れる場所は様々である

 もちろん、右肩上がりに良くなっている人もいれば、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら良くなる人もいる。私の感覚的には後者が多い。3歩進んで2歩下がるといった感じかもしれない

 こうした症状の変化はなぜ起こるのか考えてみたい

 そもそも、痛みのメカニズムというのは複雑であり、怪我などによる身体的な痛みから、心理や社会からの影響によって現れる痛み(心理・社会的疼痛)など幅広い

 実際に私が患者さんから聞いた話をいくつか思い出してみる

  1. 二階に行く生活をやめたら膝が痛くなくなった
  2. 仕事の部署が変わって精神的にもつらかった。今は落ち着いてきて、それで痛みも楽になったように思います
  3. 親の介護が終わった途端に痛いことに気づいた
  4. 仕事を減らしたら少し良くなった

 痛みにまつわる出来事は十人十色で様々である

 私が想起した中でも、物理的ストレスに加えて環境の変化や心理・社会的ストレスなどいくつかの要素が加わっている

 痛みの原因は人によって異なり、その複雑さから”物理的な介入”だけでは太刀打ちできない時もある

 理学療法士として、まずは病態やX線・MRIなどを見て、関節や筋肉の状態、動き方を検査・評価して問題を特定する。その後、治療・効果判定・評価・治療……と繰り返していく。一般的な理学療法はこうした身体機能への介入が主であるが、私は詳しくないが自律神経を調整するという手技もあったりするので、身体機能に対してだけ働きかけるのはいささか頼りないのかもしれない

 「せっかく良くなってたのに」また調子が悪くなった場合、私はそれまでの出来事を患者さんと振り返るようにしている

 すると、患者さんも思い出しながら話すうちに「そういえば……した」と自らその理由にたどり着くことも多い(時には何も思い当たらないこともある)

 何が原因か分からないことは不安であり、不安は痛みを増幅させる

 患者さんが納得できる形で今の状態を共有することが大切に思います

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